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連作28 芽連作12 2週間 (13)
+++++++++++++++++++++++++++++++
種別 連作系第28期 芽連作12
題名 『 2週間 (13) 』
初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
1998年01月30日00時47分
注釈 行頭スペース+30W
+++++++++++++++++++++++++++++++
SUBJ:【芽連作】12 2週間 (13)
ST V.4.3 SLBs Nobi-Standard
新しく生じこれから伸びようとするもの 芽連作 #12(B群)
『 2週間 (13) 』
作:しびる
別に臆する必要はまったくなかったのに それでもすぐに隠れる
ように できれば見なかったことにしてココロの安定を図ろうと思
ったけれど そのときは咄嗟にそうだった でもあとになってくよ
くよ考えるのは目に見えていたから 聞いてみよう そう決心した
なのに石原さんは休みだった いろいろあってこのところほぼ2
倍の残業だったから 奥さんのお達しで臨時の休み 交代のときに
でも冗談めかして聞いてしまおうと思っていたのに なんだかすっ
きりしな気分で火曜日の仕事 このところ とても気分がふらふら
している 集中力も欠けて 今日はとにかく しっかりやろう
『やあ 北野さん いつも早い出勤だね』
アーケード商店街を歩いていた 時間はまだ2時40分 ゆっく
り歩いて45分くらいに到着のペースで 背後から声 振り返る
『あ こんにちわ どうも 出前ですか ペットショップですね』
『うん ホットふたつにタマゴサンドがひとつ いつものね』
普通に返事したけれど 本当はかなり驚いた 石原さんのことを
ぼんやり考えていたら その当人から声を掛けられたのだ 週に2
回程度のお得意さん 3時前後だからあたしか石原さんの仕事だ
『ところで なんか元気がないな 北野さん どうかしたのかい』
『うんと いえ 別に それほど元気です ホント 元気ですよ』
なにか考えがバラバラになって ぎこちない笑顔を無理に作って
みる こんな顔じゃ悩みごとがあるって言っているようなもの ほ
んの少しだけ あたしの気持ちを察して欲しいなって とかとか
『ふうん 無理に聞きだそうとは思わないけど 大丈夫かい』
『ええ まあ なんとか大丈夫です その すみません』
なんで謝るんだろう 並んで商店街を歩きながら 自分の気持ち
を勝手に押し付けて ズルイ気持ちが悪いことのように だから咄
嗟に謝ったりして なにしてるんだろう 凄くバラバラの気持ち
『あははは どうして謝るかなあ 北野さんのそんな部分がすっ』
『はあ すみません いや 謝らなくてもいいんですよね』
石原さんの言葉に慌てて重ねる 慌てたからまた謝ったり わっ
と顔が熱くなる たぶん耳まで真っ赤になって なにしてるんだろ
『悪かったかなあ 俺だけ休みをもらってさ 北野さんもかなり無
理してたのに 実際 疲れると思うよ 毎日ってのは』
石原さんは昨日は休みで あたしの無理は合わせても数時間 時
間で比べるならたいしたことではない 疲れているように見えるの
かな そんなに頑張ってないのに だとしたら自己嫌悪 はああ
『石原さんに比べたら あたしのなんて それほどでも ですよ』
『俺は慣れてるからさ 単純に比べられないだろ でもまあ後2日
これがずっとなら無茶できないけどね 北野さんは偉いと思うよ』
会話の端々が無秩序に拡がる 休みの間には例の子供と遊んでい
たのかなあとか バイト明けの打ち上げは彼女と一緒なのかなあと
か 慣れてるって単語も変なふうに 頭が変になりそう だから
『が 学校で見ましたよ 石原さん 小さい子を肩車してたのを』
『ああん ああ あはははは なんだ見られてたのか いやはや』
わけが分からなくなって まったく脈絡も関係ナシに核心の会話
言い始めてから急に動機が激しくなり まるで吐き気を催すような
それでも最後まで言い切って もうここから逃げてしまいたい
『いやあ どうしても遊びに連れて行けってことでね なら直接親
に渡してしまおうと思ってさ 肩車が喜ぶんだ かわいくてね』
『あの その か かおるさんのお子さんですか いえ 別に』
幸せそうな話し方 眩暈がして普通に歩けない 足元がふわふわ
して こんなに他人のプライバシーに踏み込んでしまって まるで
詮索好きのオバサンみたいな 勢いのついた会話は止められない
『そうだけど かおるから聞いてなかったのかい 封筒を渡してく
れたから てっきり全部知っているんだと そうか なるほど』
そこまで話して黙り込む やっぱり踏み込みすぎたのだ 誰だっ
て自分のことをアレコレ聞かれるのは嬉しくない 息の詰まりそう
な沈黙 頭の悪い嫌な性格の女だって たぶん そう思われている
『す すみません その 詮索するつもりでは ごめんなさい』
『いやいや そうか 北野さんは なるほど うんっ 北野さん』
急に大きな声 びくっとして立ち止まる 怒られることはないけ
れど とてもびくびくした気持ちを見透かされたようで ゆっくり
振り返ると 蝶ネクタイの石原さんはトレーを抱えて真面目な顔
『かおるになにかいい加減なことを いや そもそも大きな誤解が
あるんじゃないかな 信じないと思うけど 彼女は 男だ』
すぐには内容が把握できなかった ばつの悪そうな石原さんの顔
を見ながら ゆっくりと単語を整理する 彼女は男 彼女ってのは
かおるさん かおるさんは半地下学食とデュランタで出逢った
『たっ君はかおるの子供だけど かおるが産んだわけじゃない 普
段は普通の親父で あっと 北野さんには信じられない世界だと』
『あの素敵な女性が かわいらしくって えええええええええっ』
周囲の通行人が一斉に注目する あたしは思わず大きな声で だ
ってそんなことが信じられるものか あたしだって四捨五入して2
0年間 ずっと女として生きてきたのに わからないはずがない
『そ そんな 信じられないですよ 言い訳にしても そんな』
『どうして言い訳なんか いや まあとにかく そうなんだよ』
少しでも男っぽいところを探してみる こんなことは直感として
わかるものだと 強いて思うならファンシーすぎる感じ それは初
対面のときにほんの少しだけ感じていた ああかわいらしいなって
『ウチのバンドのリーダーで 嫁さんが実家に その 色々と』
『うううん でもかおるさんって名前 ああ そうかあ でも』
かおるさん 確かに女性の名前でもあるけれど 男性の名前でも
変じゃない 妙にかわいらしい仕草とか 変に押しの強い話し方と
か それでもやっぱり信じられない そうは思いつつも じんわり
拡がってゆく安堵感 でもでもと否定しながら 心の底では熱心に
肯定している自分 さっきとは違った意味でバラバラな気持ち
アーケード商店街の中頃で あたしと石原さんは向き合ったまま
双方がみょうちくりんな男性の話題に佇んでいる なんだかんだと
説明や質問を繰り返して 気が付けば少し遅刻な時間だった
》 しびる 《
+++++++++++++++++++++++++++++++
(のりこ)>2週間の13です はいドンデン すこんと落としまし
たね 事前にネタバレがあったのは悔やまれますが
(しびる)>キレイに落ちてるだろ ネタバレは別にいいじゃん
(のりこ)>ところで 締めの前に締めるような質問ですけど この
ラスネタは事前に組んでたんですか? 1クール相当の
14本というのはタイトルから推測できますが
(しびる)>まあ大雑把に 人生はじめてのアルバイトに喫茶店 舞
台はとうぜんデュランタで 同僚の男は必要だろ それ
とどうにかなるってのがテーマで なら障害物は彼氏の
影に女だわな 職場に女性キャラを増やすと展開のセ−
フティエリアが減るし 本物の女性なら数本程度で落と
すのは至難のワザになるじゃん 誤解でもってくにして
も疑念が残るとスッキリしないだろうし すっぱり消化
するにはこれ以外に選択肢がなかったってのが正直かな
(のりこ)>展開のセーフティアリアって?
(しびる)>あざとい質問だな(笑) 北野と石原が外部からの影響
を排除して展開する場所だよ 同僚に敵キャラを持って
くると安心して展開できないじゃん?
(のりこ)>敵キャラですか なあるほど でも職場以外でも出逢っ
てますよね ふたりは 駅の構内とか図書館とか
(しびる)>そゆとこは不安定だろ そのためにデュランタには学生
が来ないと力説したり 北野の同級生の山瀬に職場に来
るなと釘を刺したり どれだけ伏線張ったことか
(のりこ)>なあるほどなあるほど つきつめるとふたりだけの場所
をいかに確保していくかがキモだったわけですね
(しびる)>そゆこった あとの展開はおまけってこと
種別 連作系第28期 芽連作12
題名 『 2週間 (13) 』
初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
1998年01月30日00時47分
注釈 行頭スペース+30W
+++++++++++++++++++++++++++++++
SUBJ:【芽連作】12 2週間 (13)
ST V.4.3 SLBs Nobi-Standard
新しく生じこれから伸びようとするもの 芽連作 #12(B群)
『 2週間 (13) 』
作:しびる
別に臆する必要はまったくなかったのに それでもすぐに隠れる
ように できれば見なかったことにしてココロの安定を図ろうと思
ったけれど そのときは咄嗟にそうだった でもあとになってくよ
くよ考えるのは目に見えていたから 聞いてみよう そう決心した
なのに石原さんは休みだった いろいろあってこのところほぼ2
倍の残業だったから 奥さんのお達しで臨時の休み 交代のときに
でも冗談めかして聞いてしまおうと思っていたのに なんだかすっ
きりしな気分で火曜日の仕事 このところ とても気分がふらふら
している 集中力も欠けて 今日はとにかく しっかりやろう
『やあ 北野さん いつも早い出勤だね』
アーケード商店街を歩いていた 時間はまだ2時40分 ゆっく
り歩いて45分くらいに到着のペースで 背後から声 振り返る
『あ こんにちわ どうも 出前ですか ペットショップですね』
『うん ホットふたつにタマゴサンドがひとつ いつものね』
普通に返事したけれど 本当はかなり驚いた 石原さんのことを
ぼんやり考えていたら その当人から声を掛けられたのだ 週に2
回程度のお得意さん 3時前後だからあたしか石原さんの仕事だ
『ところで なんか元気がないな 北野さん どうかしたのかい』
『うんと いえ 別に それほど元気です ホント 元気ですよ』
なにか考えがバラバラになって ぎこちない笑顔を無理に作って
みる こんな顔じゃ悩みごとがあるって言っているようなもの ほ
んの少しだけ あたしの気持ちを察して欲しいなって とかとか
『ふうん 無理に聞きだそうとは思わないけど 大丈夫かい』
『ええ まあ なんとか大丈夫です その すみません』
なんで謝るんだろう 並んで商店街を歩きながら 自分の気持ち
を勝手に押し付けて ズルイ気持ちが悪いことのように だから咄
嗟に謝ったりして なにしてるんだろう 凄くバラバラの気持ち
『あははは どうして謝るかなあ 北野さんのそんな部分がすっ』
『はあ すみません いや 謝らなくてもいいんですよね』
石原さんの言葉に慌てて重ねる 慌てたからまた謝ったり わっ
と顔が熱くなる たぶん耳まで真っ赤になって なにしてるんだろ
『悪かったかなあ 俺だけ休みをもらってさ 北野さんもかなり無
理してたのに 実際 疲れると思うよ 毎日ってのは』
石原さんは昨日は休みで あたしの無理は合わせても数時間 時
間で比べるならたいしたことではない 疲れているように見えるの
かな そんなに頑張ってないのに だとしたら自己嫌悪 はああ
『石原さんに比べたら あたしのなんて それほどでも ですよ』
『俺は慣れてるからさ 単純に比べられないだろ でもまあ後2日
これがずっとなら無茶できないけどね 北野さんは偉いと思うよ』
会話の端々が無秩序に拡がる 休みの間には例の子供と遊んでい
たのかなあとか バイト明けの打ち上げは彼女と一緒なのかなあと
か 慣れてるって単語も変なふうに 頭が変になりそう だから
『が 学校で見ましたよ 石原さん 小さい子を肩車してたのを』
『ああん ああ あはははは なんだ見られてたのか いやはや』
わけが分からなくなって まったく脈絡も関係ナシに核心の会話
言い始めてから急に動機が激しくなり まるで吐き気を催すような
それでも最後まで言い切って もうここから逃げてしまいたい
『いやあ どうしても遊びに連れて行けってことでね なら直接親
に渡してしまおうと思ってさ 肩車が喜ぶんだ かわいくてね』
『あの その か かおるさんのお子さんですか いえ 別に』
幸せそうな話し方 眩暈がして普通に歩けない 足元がふわふわ
して こんなに他人のプライバシーに踏み込んでしまって まるで
詮索好きのオバサンみたいな 勢いのついた会話は止められない
『そうだけど かおるから聞いてなかったのかい 封筒を渡してく
れたから てっきり全部知っているんだと そうか なるほど』
そこまで話して黙り込む やっぱり踏み込みすぎたのだ 誰だっ
て自分のことをアレコレ聞かれるのは嬉しくない 息の詰まりそう
な沈黙 頭の悪い嫌な性格の女だって たぶん そう思われている
『す すみません その 詮索するつもりでは ごめんなさい』
『いやいや そうか 北野さんは なるほど うんっ 北野さん』
急に大きな声 びくっとして立ち止まる 怒られることはないけ
れど とてもびくびくした気持ちを見透かされたようで ゆっくり
振り返ると 蝶ネクタイの石原さんはトレーを抱えて真面目な顔
『かおるになにかいい加減なことを いや そもそも大きな誤解が
あるんじゃないかな 信じないと思うけど 彼女は 男だ』
すぐには内容が把握できなかった ばつの悪そうな石原さんの顔
を見ながら ゆっくりと単語を整理する 彼女は男 彼女ってのは
かおるさん かおるさんは半地下学食とデュランタで出逢った
『たっ君はかおるの子供だけど かおるが産んだわけじゃない 普
段は普通の親父で あっと 北野さんには信じられない世界だと』
『あの素敵な女性が かわいらしくって えええええええええっ』
周囲の通行人が一斉に注目する あたしは思わず大きな声で だ
ってそんなことが信じられるものか あたしだって四捨五入して2
0年間 ずっと女として生きてきたのに わからないはずがない
『そ そんな 信じられないですよ 言い訳にしても そんな』
『どうして言い訳なんか いや まあとにかく そうなんだよ』
少しでも男っぽいところを探してみる こんなことは直感として
わかるものだと 強いて思うならファンシーすぎる感じ それは初
対面のときにほんの少しだけ感じていた ああかわいらしいなって
『ウチのバンドのリーダーで 嫁さんが実家に その 色々と』
『うううん でもかおるさんって名前 ああ そうかあ でも』
かおるさん 確かに女性の名前でもあるけれど 男性の名前でも
変じゃない 妙にかわいらしい仕草とか 変に押しの強い話し方と
か それでもやっぱり信じられない そうは思いつつも じんわり
拡がってゆく安堵感 でもでもと否定しながら 心の底では熱心に
肯定している自分 さっきとは違った意味でバラバラな気持ち
アーケード商店街の中頃で あたしと石原さんは向き合ったまま
双方がみょうちくりんな男性の話題に佇んでいる なんだかんだと
説明や質問を繰り返して 気が付けば少し遅刻な時間だった
》 しびる 《
+++++++++++++++++++++++++++++++
(のりこ)>2週間の13です はいドンデン すこんと落としまし
たね 事前にネタバレがあったのは悔やまれますが
(しびる)>キレイに落ちてるだろ ネタバレは別にいいじゃん
(のりこ)>ところで 締めの前に締めるような質問ですけど この
ラスネタは事前に組んでたんですか? 1クール相当の
14本というのはタイトルから推測できますが
(しびる)>まあ大雑把に 人生はじめてのアルバイトに喫茶店 舞
台はとうぜんデュランタで 同僚の男は必要だろ それ
とどうにかなるってのがテーマで なら障害物は彼氏の
影に女だわな 職場に女性キャラを増やすと展開のセ−
フティエリアが減るし 本物の女性なら数本程度で落と
すのは至難のワザになるじゃん 誤解でもってくにして
も疑念が残るとスッキリしないだろうし すっぱり消化
するにはこれ以外に選択肢がなかったってのが正直かな
(のりこ)>展開のセーフティアリアって?
(しびる)>あざとい質問だな(笑) 北野と石原が外部からの影響
を排除して展開する場所だよ 同僚に敵キャラを持って
くると安心して展開できないじゃん?
(のりこ)>敵キャラですか なあるほど でも職場以外でも出逢っ
てますよね ふたりは 駅の構内とか図書館とか
(しびる)>そゆとこは不安定だろ そのためにデュランタには学生
が来ないと力説したり 北野の同級生の山瀬に職場に来
るなと釘を刺したり どれだけ伏線張ったことか
(のりこ)>なあるほどなあるほど つきつめるとふたりだけの場所
をいかに確保していくかがキモだったわけですね
(しびる)>そゆこった あとの展開はおまけってこと
- 2007-03/01 00:31
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