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連作30 白連作07 にかめいが #10
+++++++++++++++++++++++++++++++
 種別 連作系第30期 白連作07
 題名 『 にかめいが #10 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1998年07月24日01時28分
 注釈 行頭スペース+30W
+++++++++++++++++++++++++++++++
SUBJ:【白連作】07 にかめいが #10

 ST V.4.5 BVD V.2.3 SLBs N-Sta

 すべてを白紙に 原点に戻ろう 白々と 白連作 #07(A群)




           『 にかめいが 』


                        作:しびる


   #10:孵化 5


  住宅街の外れに用水池がある 行楽の季節には水上にボートが浮
 かべられ 普段着の家族が休日に寛ぐ場所 背の高い広葉樹が木陰
 を作り 既に用水としての目的が失われて数十年 長閑な風景とは
 裏腹に 流れを遮断された淀みは徐々に腐敗を始めていた
  シーズンオフのボート小屋に誰かが住み着いた 若い女性と子供
 がふたり 鬱蒼と生い茂る葦は薄紫の花を付け その中央にくすん
 だ白色のベニヤ張りの建物 水面を渡る風は北から吹いていた

 『生活には不自由でも 場を維持するには隠遁するしかないのよ』
 『あのお 少し散歩してきます すぐ 戻りますから』
  菓子袋にインスタント食品の容器 それらが並べられたテーブル
 の上には 飲料水の空き瓶に生けられた赤い花が 殺伐とした隠れ
 家に仮初の彩り 花を飾る趣味は さて あかねかみゆきか
 『なんだか元気がないみたい あかねさん そう思わない』
 『そうね どこか安全な場所に落ち着ければいいけれど』
  ふらりと立ち上がり ジャケットを掴んでドアの外へ 部屋に残
 されたのはあかねとみゆき もうここでの暮らしは10日になる

  巨大な街は今も崩壊を続け それでも人々は暮らしていた 寸断
 された鉄道網は理不尽なラッシュを生み 目的地にたどり着いた人
 々は必要な時間だけ残骸に佇む なにかを成した記憶や成果は巧妙
 に捏造され それらすべてを瘴界が飲み込んでゆく
  拡がった孔からは 手遅れなほどに高次な存在が勢力を延ばしつ
 つある 街の中心から離れこの場所に身を隠すのは あかねの説明
 によれば場を維持するため しかし 予感はみゆきにもあった

 『あの小屋に住んでるの どうして 家がないの』
  雑草を踏み締める音がして けいたは慌てて振り返った 背後に
 は同じ歳くらいの少女 不意に声を掛けられて言葉がでなかった
 『喋れないの 喋れるんでしょ ねえどうして どうしてかって聞
 いてんだよ 悪いのはどこだ 耳か頭か性格か いききききっ』
 『誰だお前っ ここは安全な場所だって あかねさんが』
  少女の輪郭がゆがむ 光を失った瞳から眼球が溢れ 抜け落ちた
 頭髪が縮んで消える 白いブラウスを着た怪物が前屈みに立ってい
 た あまりに急性な変化に けいたは退路を確保できなかった
 『いきききーっ この辺りの人間は全部食っちまったと思ったのに
 なあ 街は危なくて行けないいしよう さっそく ふがっ』
  ぶつぶつの肌から緑色の粘液を滴らせ 無秩序に並んだ黄色い前
 歯が開かれてゆく 細かく脈動する眼孔はけいたの姿を捉え なに
 か気配を感じたのか 小首を傾げた緑色の怪物の頭部が破裂した
 『ひっ あっ ああっ』
 『ぶしるっ ぶしるっ ぶしゅるるっ ぶぼばっ』
  様々な修羅場をくぐり抜けてきたが それでもけいたは これら
 瘴界の住人と対峙するたびに心の底から恐怖を感じる 白いブラウ
 スを緑に染めながら それまで頭部の乗っていた首の付根から濃緑
 の体液を噴きだす 薄紫の花の咲く葦の原 時間が圧縮される
 『やっぱりなあ 妙な場があると思っていたが 中に人間が潜んで
 いやがった お前の手柄だぜ そのカッコじゃ喰えねーかー』
 『ぶしっ ぶしるっ ぶぐじるるっ ぶじっ』
  ようやくけいたは気付いた あかねが話していた境界線 ここか
 ら先は場の力が及ばない 僅か数メートル けいたは場の外側に佇
 んでいた 広葉樹をかきわけ巨大な怪物が歩いてくる
 『街の外には生きた人間が少ねえからなあ 水ん中の死んだのはう
 まくねーしなあ 土ん中に埋めてあるのもうまくねーしなあ』
  白いブラウスの怪物が地面に倒れる まるで四肢のすべてが別の
 生き物であるかのように暴れ その胴体を歩いてきた怪物が踏み潰
 す けいたは怪物との間合いを計る 背後は用水池 汗が流れる
 『ぼ 僕を食べるのか お前なんかあああああっ』
  意識を怪物に集中させる 心の中で怪物を手に乗る大きさにまで
 凝縮する そして一気に解放する やり方のコツは掴んでいる け
 いたはキッと怪物を睨む 巨大な怪物は瞬間に林の中へ移動した
 『なんかチカラを持ってるなお前えええええええええ』
  少しの時間を稼ぐ 身体中を痙攣させながら怪物はけいたに向か
 って歩いてくる その隙にけいたは場の内側へ駆け込む 不安はあ
 ったが あかねの言葉には信頼に値するなにかがある 場の内側な
 ら怪物には察知されない 怪物を移動するには限界がある
 『があ 場に隠れたのかあ すぐ見つけるぞ お前かあ』
  怪物はけいたを見失っている 寸前までけいたがいた場所をうろ
 うろしながら 踏み潰した白いブラウスの骸を拾い上げる 臭いを
 嗅ぎ 紫色の舌で味を確かめ 深く頷いて腕から喰らう それで満
 足したのか 残りを引きずりながら林の中に消えていった
 『あかねさんがダメだって言ってたでしょ バレたらどうするの』
 『うん ああ ごめん なんかぼんやりしてて』
  ヌイグルミを抱いたみゆきが立っていた ふたり並んで怪物の後
 ろ姿を見送り けいたはみゆきを見ずに謝る 人間の意識や空間を
 操作するような高等生物ではないらしい 街の中で出逢った瘴界の
 住人はかなり高度な能力を有していた みゆきがつぶやく
 『なんか今の 人の臭いがしなかった もしかして 人間かな』
 『あれが どう見たって化け物だよ そんなわけ ないよ』
  人の姿を模した怪物 つい先ほども少女が怪物に変貌した けい
 たの母も妹も緑色の怪物であった 家族だと思っていたものが怪物
 に変貌する 異形の怪物が人間であると認めることは 家族の死を
 認めることになる けいたは今も自宅での悪夢を受け入れていない
 『ならさ あたし達の頭が 変になっただけかもしれないよ』
 『そんなこと だって いや ないよ きっと』

  水面を秋の風が渡る 曖昧な笑顔で言い放つ みゆきの髪が風に
 たなびく けいたはポケットに手を突っ込んで振り返る 赤くなり
 はじめた空は忌まわしい記憶の断片 どこか遠くで獣の鳴き声が響
 く 狂った世界の片隅で 葦を踏む音がふたつ重なる
  街はまったくいつもの姿で ただ自分達だけが狂ってしまったの
 なら ならその方がずっと楽なのにと けいたは最後の言葉を言わ
 ずにしまい込んだ 言葉にすれば現実になりそうで 根拠のない不
 安が心を締めつけていた 小屋の前に立つのは あかねだ







             》 しびる 《
+++++++++++++++++++++++++++++++
(のりこ)>にかめいが10です 孵化カテゴリの5ですね ってこ
      れは別シリーズで独立してましたよね なんで連作に?
(しびる)>なんでかな 当時の解釈は忘れたけど?
(のりこ)>ふうん さてこのシリーズはどうしたもんでしょ 世界
      はどんどん崩壊してるらしいですし 彼らがどうにかで
      きるレベルではないようですよね 逃げるだけですか?
(しびる)>なにか解決策があるのか どうしたもんかね おそらく
      人間界はすべて蹂躙されてしまうんだろうな
(のりこ)>救いのない展開じゃオチの付けようがないですね
(しびる)>まあどうにかなるんじゃねーの
(のりこ)>もうモンスターや崩れる人体の描写は読みたくないです
      ね 違う方向に展開なさるなら支持しますけど
(しびる)>こういうの好きなんだけどなあ
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そうめんのカビ

 そうめんに限らず 穀物に生えるカビには発ガン性のあるものも存在します もったいないですがそうめんにカビが生えたらば廃棄処分しましょう 同じようにモチやパンもカビが生えたものは食べない方が賢明です

文責:そうめん愛好家・篠原のりこ


関連項目
編集会議 138
*議事録後半に『そうめんのカビ』について触れています


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Author:篠原しびる
  
 ネット作家・篠原しびるが各所に書き散らかした作文を分類整理するために開設されたのが『篠原リサイクルテキスト研究所』です 篠原しびるをご存じではない方も心配しないでください 当研究所が開設されたからには 篠原しびるが思いの丈を注ぎ込んだ様々な作文をつぶさに閲覧し その人と成りをば誰の目にも明らかになるように見事分類整理されてしまうことでしょう しばしお待ちください そしてとくと堪能してください

 いつも思うのですが冒頭の挨拶はこれくらい曖昧でもいいのでしょう(ジオ分室トップページより抜粋)

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